北海道新幹線並行在来線 鉄路を残すことがすべてではないけど
【倶知安】北海道新幹線並行在来線対策協議会(事務局・道)は22日、第6回後志ブロック会議を後志管内倶知安町で開き、2030年度予定の北海道新幹線札幌延伸時にJR北海道から経営分離される並行在来線の函館線小樽―長万部の鉄路の存廃の判断を、従来の「延伸の5年前」から前倒しを目指すことを決めた。
後志ブロック会議の開催は2年ぶり。沿線自治体の首長ら約30人が出席した。8月下旬以降、後志ブロックを2~3の地区に分け、公共交通の利用実態などを踏まえて地域の課題を整理し、10月の幹事会で今後の対応などを検討する。
2031年春に札幌まで伸びる北海道新幹線。
早期の開業が求められる一方、その足元では、開業後の地域の足が揺らいでいます。「(新幹線の)開業効果をさらに高めつつ、一日も早く札幌まで伸びるように」(札幌市・秋元克広市長)
22日、札幌で開かれた、北海道新幹線の沿線自治体の会合。
新幹線開業を見据え、自治体間の連携や街づくりに取り組むことを確認しました。
一方、地域の交通はどうなるのでしょうか。
新幹線の予定ルートには現在、函館と小樽を結ぶ288キロのJR線が走っています。「『山線』と呼ばれる小樽~長万部間は、1キロあたりの利用者が652人。1日に乗車する人が10人に満たない駅も多くあります」(記者)
しかし、この路線は、新幹線の札幌延伸後にJR北海道の経営から切り離される予定です。
残された鉄道をどうするのか。
22日、道と、後志の沿線9市町、JR北海道らが集まりました。「(小樽~長万部)約24億円の赤字になっている。今後大きな改修、修繕が必要になってくる」(JR北海道・綿貫泰之常務)
「1日あたりの駅利用者数は何名くらいをめどに黒字と見込んでいるのか」(余市町・斉藤啓輔町長)
「(1日あたり)2000人以上の乗車で鉄道の特性が発揮できる」(JR北海道・綿貫泰之常務)
余市町は、通勤通学でJRを利用する人が多く、路線の維持を求めています。
その一方で。「バス転換しても、JRバスが観光客や地域住民が利用しやすいように特化していくのであれば、補うことはできるのかなと」(仁木町・佐藤聖一郎町長)
地域の財政負担が大きい鉄道の維持には、温度差もあります。
「1市19町村が後志にあって、在来線の駅があるマチだけが負担するのか。近隣の町村も応分の協力をしてもらわないと」(長万部町・木幡正志町長)
地域の交通を守るため一枚岩になれるのか…沿線のマチには、住民を含めた本格的な議論が求められます。
この問題、それぞれの市町村ごとの立地条件や、通学・通勤の実質的な足になっているのか、新駅による経済効果など、抱える課題が違うのでこれをまとめていくのは大変な作業だと思います。
ただ、JRの常務のコメントを見ると鉄路を残すことそのものが難しいのかもしれません。
細かいことは、地区に分けて課題を整理するとあるように、それぞれの事情を鑑みなければならないので、慎重に行ってほしいです。
というのも、九州新幹線の長崎ルート。リニア中央新幹線。など、ここにきて自治体間の温度差によって工事が進められない事態に陥っていることが多すぎる気がします。
だからこそ、十分な検討が必要ではないでしょうか。
また、存廃の判断を開業から5年前までに出すというのを前倒しするとのこと。ひょっとしたら、協議も工事も順調にいけば開業事態の前倒しもあるかもしれませんね。